会長就任にあたって
日本ブータン友好協会会長 小島誠二
2月28日に開催された第35回通常総会において会長に選任されました小島誠二でございます。会長就任にあたりご挨拶を申し上げます。まず、自己紹介をかねて、私のブータンとの関わりから始めたいと思います。
ブータンとの出会い
最初にブータンを訪問したのは、1988年2月でした。当時外務省からアジア開発銀行(ADB)に出向中で、全国4箇所に工業団地を設立するプロジェクトへの融資の可否を決定する審査ミッションの一員として訪問したものです。当時は、ブータンに関する文献が少なく、ADBの図書館で見つけたインド人学者の書いた英語の文献を読んだことを覚えています。後藤多聞さんの参加されたNHK取材班による「遥かなるブータン」の存在は、帰国後に知ることになります。
在ブータン日本国大使館公使
その後1994年から約3年間デリーにある在インド日本国大使館、重ねて在ブータン日本国大使館の次席公使を務めることになります。余談になりますが、私の在勤の途中で、谷野作太郎大使(元当協会会長)が新たに着任され、在留邦人に対して自分のことを大使「閣下」と呼ばないで欲しいと言われたことが強く印象に残っております。そのころ、日本政府はブータンにおいて橋梁建設や通信網整備のためのプロジェクトを進めておりました。当然、在インド・ブータン大使館とは頻繁に連絡を取り合っていました。当時のブータン大使は、誠に立派な大使で、われわれ大使館員にも気を配る方でした。お名前を忘れていたのですが、森副会長がナド・リンチェンさんであることを教えてくださいました。
その後のブータンとのお付き合い
高校時代のある日突然、大学で仏教を研究すると宣言して周りを驚かせた同級生の今枝由郎君が1980年代初めから10年間ティンプーに滞在したことがあり、時折、私の赴任先を訪れたり、ブータンに関する自著を送ってくれたりしました。そのこともあって、ブータンへの関心が失われることはありませんでした。赴任先のタイで、ある式典にブータン王族のお一人と一緒に出席させていただいたり、関西担当大使として2014年3月ソナム・キンガ上院議長一行を京都でお迎えしたりする機会もありました。
会長としての抱負
私の会員としての経験は1年に満たないものであります。会員の皆様のご意見によく耳を傾けていくことが最も大切なことと思っております。榎前会長は、2013年と2014年の2度にわたりそれぞれの年に期待することをお示しになりましたが、それらを取りまとめると次のようなものとなります。これらの諸点は会員の皆様の思いが集約されたものと理解しております。
(1)ブータン専門家、愛好家が活躍できる場の提供
(2)外への発信(会員によるHPへの積極的投稿)
(3)会員間の交流促進・各種行事の活発化
(4)新入会員の歓迎
(5)在ブータン日本国大使館の開設
新会長として、これらの点をしっかりと受け止め、また、皆様方の新たな要望に耳を傾けながら、当会の運営に当たってまいります。特に、今年と明年は日本とブータンにとって重要な年となります。今回の総会で承認された活動計画に従って、様々な記念行事を企画し、実施していきたいと思います。
当協会のあり方
当協会は、学術研究や外交の分野でブータンと深いつながりのあった方々によって設立されました。このような当協会の原点を忘れてはならないと思います。ただし、その後30余年を経て、当協会に期待されるものも多様化しているように想像されます。また、今回の総会において、出席された会員の方から協会を法人化してはどうかというご提案がありました。確かに、昨今非営利法人の活用、そのあり方などに国民の関心が集まっているように感じます。榎前会長からは、この問題は会員の皆様が協会をどのようなものとしていくべきと考えておられるかに関わっているとのご指摘がありました。新会長として、当協会のあり方についての議論の中で、法人化の是非・形態についての議論も深めて行きたいと考えます。
おわりに
当協会の活動を一層活発なものとし、日本とブータンとの関係を一層緊密なものとすることに微力を尽くす覚悟です。皆様方のご支援とご助言をお願いいたします。