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June 29, 2005

ブータン、世界最大の仏像保有へ

ブータンは世界最大の仏像を保有することになりそうだ。

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写真)仏像(案)
 

 169フィートにもなる銅製の仏陀・Dordenma Vajra像がティンプを見下ろすChangbangduのクエンセル・ポダンに建立される計画が進行中である。Dordenma Vajraは不死の身を象徴しVajraに鎮座している。
 クエンセル・ポダンは今でこそ廃墟であるが、かつては第13代デシSherab Wangchukの宮殿であり、ティム・チュ川べりから約100メートル上方の斜面に位置している。
 仏陀Dordenma計画の責任者はMenjong Chhothuen Tshogpaの代表ラマ僧、ツェリン・ワンディ。すでに国王陛下と政府による認可が下り、2007年の建国100年に向け、計画は動き出している。
 本計画はちょうど1エーカーの土地を利用して行われる。仏像の支えとなる基礎工事とコンクリート工事は、政府が5kmの周辺の道路整備を完了し次第開始される見込み。
 「政府により、電力および水力も供給される。」ラマ僧、ツェリン・ワンディは言う。「われわれは政府側の早期始動を心待ちにしている。」
聖座の大きさも入れた巨大な銅像には17のラカンが十分に入るスペースが確保される。
 17のラカンは、聖座に3つ、両脇の二つの蓮の花の中に、一つずつ、腰、胸、顔、肩、双方の足にひとつずつ、首、頭にそれぞれ位置している。
 15フィートの高さに位置する2区画には、12インチの大きさの仏陀Dordenma像が25,000個安置される。「これらの銅像には金箔が貼られ、聖座の瞑想ホールに飾られる。「個人の寄贈による銅像には、それぞれの名前が銅版に彫られ、保存加工も施される。」
 中心を取り囲む一区画には、10フィートの大きさの、ボディ・サントヴァの立像が位置される。ボディ・サントヴァは釈迦無二の奇跡の息子である。
 支柱を取り囲む2区画には、10フィートの大きさの医学の師の像が8体置かれる。
 蓮の花の中の3区画には6フィートのarahats、Hashang(Maitreya ボディ・サントヴァ)、Dharmata Tiger, Sutra Holder,そして4方位の王たちなどが計16体納められる。この3区画より上の部分には、仏陀Dordenmaの8インチの銅製、金箔をコーティングした仏像が10万体納められる予定。「この8インチの銅像にも、関心のある個人による寄付を求めている。」ラマ僧、ツェリン・ワンディは言う。「寄贈者名はそれぞれ銅版に彫られ、瞑想の部屋に掲げられる。」
 すでに、ブータン人の優れた彫刻師が12メートルの高さの仏像を彫り、中国の南京に本社のある中国資本の民間会社、Aerosun社に引渡している。仏像本体制作に向けた作業は2004年末頃からめられている。
 仏像を確実にブータン風に仕上げるために、彫刻師は頻繁に中国に足を運んでいる。
 仏像制作に関してはAerosun社との間で2000万U米ドルで契約が締結されている。この金額には、2007年に仏像が完成した際のブータンへの輸送費用およびクエンセル・ポダンへの設置費用も含まれている。
 さらに、展示場、レストラン、大きな駐車場、キャンプ場、ダラムサラ、僧侶の区域ために、もう10エーカーの土地が必要とされている。ラマ僧・ツェリン・ワンディはクエンセルに以下のように述べている。「中国の会社と契約を締結する以前、仏像制作の提案はインド、ネパール、ミャンマー、タイ、インドネシアといった他のアジア諸国に持ちかけられていた。しかしながら、どの国も仏像が大きすぎて、3年以内の完成は困難であると拒否したのです。」
 そのとき、ツェリンは同社が南京に86フィートの銅像を建てたことを耳にしたのである。同社は価格、材質の面から銅像建設に理想的な、銅や青銅製品を扱う大手の会社である。
 ツェリンによると、同社は銅像建設費用の500万米ドルの値下げに応じたという。
 この地は世界中の仏教徒が集まり、祈りを捧げ、瞑想をし、隠遁生活を行う中心地となることが期待されている。
「さらに、この計画は世界全体に祝福をささげ、平和と幸福を祈るようにとの予言にも従っているのです。私は、この計画を高名なyogi,ソナム・ザンポの予言に基づいて実践しています。彼の予言によれば、この知にグル、仏陀、Phurbaのいずれかの像を建てることは国の平和および繁栄に貢献するのです。」
 なお、今計画の最大の出資者はシンガポール人の億万長者Rinchen Peter Teoである。
 
(報告者Rinzin Wangchuk)
 
(原文は http://www.kuenselonline.com/article.php?sid=5670 )

June 23, 2005

携帯電話利用、拡大

今週公開されたブータン・テレコムの2004年年次報告書によると、携帯電話のサービスが2004年以後「予想をはるかに超え」た毎月平均1230件のペースで拡大している。

 2004年度1年間だけで総利用者数は336.64%の伸びを見せた。数にすると19,138件にのぼり、2003年末のサービス導入時点の4,383件と比較してもその伸びは明らかである。同報告書によれば、経済性も良好であるという。
 ブータン・テレコムは携帯電話のバウチャーだけで、7,200万ニュルタムの収入がある。それに加え、プリ・ペイド式のSIMカードでは870万ニュルタム、後払い式のサービスでは1520万ニュルタムの収入を得た。
 携帯電話機の販売も含めると、ブータン・テレコムが携帯電話サービスで得た総売上は約9,700万ニュルタムにものぼり、企業利益および債務返済に多大な貢献をしているという。
 2004年を通じて、携帯電話サービスはサムドルゥップ・ジョンカ、プナカ、ワンディ・ポダン、ゲレフの4つのゾンカックに拡大された。今日では計7つのゾンカックでサービスの利用が可能である。
 同報告書によると、携帯電話のサービスは他のゾンカックにも拡大される予定である。
 また、固定電話のネットワークは2003年の23,973件から、30,285件まで増加している。これで国内の電話普及率は3.94%から4.66%に増加したことになる。
 ブータン・テレコムの納税後の利益は1億35百万ニュルタムに上り、2,800万ニュルタムあまりが配当された。2003年度の配当金は4,250ニュルタムで、利益が9,800万ニュルタムであった。
 
(報告者Kencho Wangdi)
 
(原文は http://www.kuenselonline.com/article.php?sid=5644)

June 20, 2005

学生が知らなくてはならないこと

6月16日ティンプにおいて、市内の学生が制作した作品の展示会が開催された。そこで取り上げられたトピックは10代の妊娠、薬物乱用、HIV/AIDSの危険性である。

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写真)ティンプの学生による展示品
   

 生徒たちは口々に、この企画を進めるうちに多くのことを学んだと述べている。「私はできるだけ多くの人に、このような問題があることを伝えたいと思います。」Yangchenphu高校のDinesh Pradhanは言う。
 ペマ・ティンレイ教育相事務官によると、この企画はHIV/AIDSをはじめとする青少年問題への啓発を目的として開催された。
 また、保健省の職員が栄養、青少年とHIV/AIDS、アルコールとそれに伴う暴力のほかに3つの話題についても紹介した。会場には生徒代表、学校長、保健の相談員、関連の公務員が集まった。
 ある職員は、子どもたちに対して、友人・両親に相談すること、そしてHIV/AIDSや青少年問題について地域の人々とも言葉を交わすように語りかけた。別の職員は、生徒が正しい選択を行うためには学校による支援が不可欠である、という。「両親や教師が単に恐怖を伝える方法は避けなければなりません。両親、教師、生徒間でひざを付き合わせた話し合いが必要なのです。」彼は続けていった。
 青少年・文化・スポーツ局のキンレイ・ドルジによれば、学生は一連の問題を正しく理解する必要があるという。というのも、国の未来は学生たちの肩にかかっているからだ。
 アシ・サンゲイ・チョデン・ワンチュック女王陛下のイニシアティブで設立された、女性への尊敬、教育、エンパワーメントを目指すNGOのRENEWも同会議で短い発表を行った。
 このイベントは厚生局、IECH、および教育省により共同開催された。UNFPAの親善大使であるアシ・サンゲイ・チョデン・ワンチュック女王陛下、教育大臣のリョンポー・ティンレイ・ギャムツォ他、数名の政府高官が参加した。
 
(報告者 Kesang Dema)
 
(原文は http://www.kuenselonline.com/article.php?sid=5629)

June 18, 2005

若者に魅力的な農業を(国会ニュース)

国会では表面化しつつある失業問題に関する集中討議が行われた。討議後、国会は政府に対して雇用機会の創出、とりわけ若年失業層に対して農業分野において雇用創出への努力を求める決議を下した。

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写真)リョンポー・ウゲン・ツェリン:雇用への需要は急速に拡大している。

 本議論案を提出したあるティンプ議員は、公共事業省設立後もブータンの若者が直面する失業問題の改善は見られない、という。若者は農業への関心を示さない一方、高齢の公務員は定年を過ぎても退職しない。この状況で、若者に対する就業機会は限定的である。軍でも就業機会は少ない。多少の需要があるのも兵士、もしくはランクの低い事務官である。
 あるプナカ議員は非常に皮肉な状況を指摘している。都市部においては若者が就職できない一方で、農村は農業従事者の確保に苦心しているのである。「若者が村に残り、農業を営むためには、村落レベルで魅力的な機会が創出にむけて努力しなければならない。」タシガンの王立勧告機関(Royal Advisory Council)メンバーのダショー・Jangchu Dorjiは言う。
 公共事業省のリョンポー・ウゲン・ツェリン大臣は議会に対して、失業問題の世界的な広がりを指摘する。国際労働機関(ILO)の推測によると、今日全世界で、1億8590万人が失業状態にあり、そのうち8820万人が若者と女性である。
 同大臣は、ブータンで拡大しつつある失業問題を指摘する。労働人口に占める失業者の割合は1998年には1.4%であったが2004年には2.5%に上昇している。この数値は先進国の6%、発展途上国の20%という国際的な基準に比較すれば低い。
 しかし、ブータンの人口の少なさを考えれば、失業者の増加は懸念事項だ。というのも、失業問題は若者の非行、薬物乱用、そして、政治的・社会不安へとつながる恐れがあるからだ。
 「もし、われわれが有用な雇用を創出できなければ、ブータンの貴重な人的資源を失うことになる。」同大臣は政府がたった数千人の若者に就業機会が提供できない一方、数千人にのぼる外国人労働者を受け入れている状況は非常に皮肉的であるという。
 現在、国には37,063人の就労許可を得た外国人労働者に加えて、国境地帯では8,000人の日雇い労働者がいる。
 大臣はこの問題の原因と思われる要因を以下のようにあげている。例えば、教育方針、普及の成功、田舎から都市部への人口流出、官民双方での限られた就業機会、肉体労働よりデスク・ワークを好む若者の嗜好、そして、労働需要と労働供給のバランスの悪さがある。
 「雇用の供給がないのではない。ただ、需要の伸びが著しい。」と、大臣は付け加える。
 2004−2005年、クラスXを終了した6,800人の生徒のうち、4,400人がクラスXIに進学した。残り2,400人はブータン国外で進学するか、職業訓練学校に入るか、就職活動を開始するかした。約3,200人の学生がクラスXIIに進学したが、更なる高等教育を受けるためのカレッジレベルの資格を得たのはわずか1,200人である。その結果、クラスXIを終了した学生と同様に1,000人が海外留学、職業学校、そして就職活動の道を選択した。同年、870人の大学修了者が労働市場に入った。その数は実に15%増しである。
 リョンポー・ウゲン・ツェリンは、民間部門での雇用創出の必要性を主張する。その分野として例えば、サービス業、軽工業、技術産業、そして観光業がある。さらに、企業は今まで民間企業が参入に否定的であった分野も開拓しサービスを拡大する必要があるという。
 「建設産業、加工業、そして農業セクターが教育を受けた若者の獲得を目指すならば、産業自体の発展は不可欠である。」同大臣はさらに付け加えて、既存の産業において付加価値をつけること、例えば製薬や有機栽培の分野は若者に魅力的な農業となりうる、と述べた。
 自営業、経済活動を活発化させる外国の直接資本投資、ビジネスにおける新たな基準、そして国外就業も、雇用および訓練の場を提供するといえよう。また、IT産業は間違いなく、雇用機会を創出するであろう。
 同省は2001年以来、合計100に及ぶ既存および新規会社の覚書にサインをしている。これらの計画が軌道に乗った際には3,000の新たな雇用創出が見込まれている。また、職業訓練の重要性を考慮して、同大臣は5つの職業学校が設立された、とも述べた。
 雇用促進の具体的な手法として、雇用のカウンセリング、自営業への支援、ウェッブサイトの開設が実施されている。このサイトでは、100の企業、506の求職者、586の求人情報が寄せられている。また、この場は雇用者と求職者が労働市場での就業機会や企業の求める人物像に関する情報が共有されている。
 ここ3年の間に雇用局に登録した4,562人の求職者のうち、2,236人が民間に就職した。
 首相は、公務員の定年引き下げは問題の解決にはならないという。といいうのも、大部分の公務員はまだ若く、経験も不足しているからだ。
 「民間部門が若者の就業に最も現実的であろう。しかし、民間部門がすべての若い求職者を吸収するにも時間がかかる。というのも、民間部門というのは一晩で発展するものではないためだ。政府は民間部門に大きな投資を計画している。しかし、同時にわれわれは外国の援助に依存していることも認識しなければならない。
 若者に重要なことは農業がブータン経済の基盤である事実に気がつくことであり、農業分野への就業を真剣に考えることである。」と、首相は言う。
 農業大臣Lyonpo Sangay Ngedupは、ブータン人口の79%が従事する農業分野は都市部への人口流出の問題で深刻な問題に直面する可能性が高い。同大臣が言うには、「このことは国王陛下のお志である食の安全保障を危うくする。」のである。
 さらに、農業局はこの問題に高い優先順位をおき、農村の活性化にむけていくつかの対策を実行中であるという。これまでに学校からドロップアウトした若者に村落開発、小規模ビジネス、畜産業への就業機会が提供された。
 Lyonpo Sangay Ngedupによれば、再生可能資源分野のさらなる充実が進められてきており、農業機械修復センターが各ゲオッグに設立され、技術者が配置される予定である。同大臣によると、現在の事業が成功すれば農業関連企業が若者にとって魅力的になりうるという。特に一連の事業は畜産および植林業で期待されている。
 議員のダショー・ウゲン・ドルジによれば、若者の失業問題は緊急の懸念事項であり、全省庁をあげて対策に取り組んでいるという。ダショーによれば失業率自体は他国と比較するとかなり低いため、数字自体はまだ問題ではないという。しかし政府は特に農業分野で若年層への雇用創出に向けて懸命に努力しなければならない。その努力が国王陛下のお考えである、すべてのブータン人が意味のある仕事につくという目標、そしてGNHの目標を達成することにつながるのである。
 
(原文は http://www.kuenselonline.com/article.php?sid=5620 )

June 13, 2005

ブータン−21世紀の万博で(特別記事)

SF映画の一場面のように空中歩道が大きな弧のパノラマを描きだす。ハイテク技術の粋を集めたドーム型パヴィリオンが点在する。会場間を磁力と燃料電池を動力とする無人の電車、バスが騒音を発することもなく人々を輸送する。

 日本式の宮廷庭園をイメージして作られた会場は木々で覆われ、花が咲き誇り、滝が流れ、丘そのものが巨大な庭のようである。
 2005年愛・地球博へようこそ。ここでは、環境問題の啓発をテーマとした展示品から、最新の技術まで様々な陳列品がある。日本で第4の都市、名古屋で開催中の愛知万博には、122にも及ぶ文化・言葉を異にする国々が、今日私たちが直面する問題、経験、そして挑戦を共有する場がある。
 世界から集った建築家やデザイナーは万博のテーマである「自然の叡智」を表現しようと、展示品に様々な工夫を凝らしている。それと同時に多くの参加国が最新の技術を駆使し、人間と自然の調和にむけた様々な試みも披露している。
 日本の展示品のひとつに、竹で作られた90m×70mの巨大な繭のようなパヴィリオンがある。このパヴィリオンには日本で開発された光触媒作用という技術が用いられている。こう触媒作用は室内を冷やす作用を持つ。よって、夏季に発生するエアコンへの計り知れない需要を減少させることができる。ドイツは「ビオニス(bionis)」を促進するパヴィリオンを完成させた。この概念は自然と技術の共生を表している。他のパヴィリオン、たとえばシンガポールでは、都市開発の基礎として生物多様性の重要性が強調されている。
 ほとんどのパヴィリオンでは、それぞれの国家が文化、科学、そして環境をどのように築いてきたか、コンピューターを駆使して紹介している。
 また、非常によく保存された1万8千年前のマンモス象も展示されている。この象はシベリアから発見されたもので、子供たちに気候変動の恐ろしさを伝えている。
 しかし、なんと言っても万博の目玉は日本の技術開発である。ヴァーチャル・リアリティの世界で繰り広げられるショー、文化の紹介、そして人間の形をしたロボットによる芸などが紹介されている。
 日立館のヴァーチャル・リアリティのサファリでは、観客は手首にまいたセンサーを通じて、3D画像の世界を体験できる。このヴァーチャル・リアリティの世界では、空中に立体像が体現され、まさに自分の手でその対象を体験できる。たとえば、蝶を追い、手で捕まえ、どの角度からも蝶の姿を確認することができる。蝶を捕まえる手を広げると、蝶は飛び立ち、ヴァーチャル・リアリティのジャングルの仲間たちのもとへと戻るのである。
 さらに、対象物を認識できる双眼鏡もある。使用者が双眼鏡で風景を眺めると、双眼鏡が特定の対象を認識し、その詳細な情報を示すのである。例えば、双眼鏡を使ってある花を眺めると、双眼鏡はその花が何なのかを示すのである。
 その中でも群を抜くのがトヨタのロボットであろう。数時間待ちが必死のショーでは、ロボットが舞台に登場し、片足立ちでバランスをとってみせる。また別のロボットは完璧に接合された手を空中に掲げて、音楽の演奏を始める。さらに、「i-foot」と名付けられたロボットは人々の移動補助を行う。これは、従来の車椅子に変わって、階段を上下するのである。
 しかし、ブータン・パヴィリオンは違う。この、ハイテク・実用的な展示があふれる中で、ブータン・パヴィリオンは万博のサブ・テーマである「人生の「わざ」と知恵」を追求している。祈りの旗、木材の使用、伝統的手法を用いた竹製弓矢等の手工芸の展示。つまり、先端技術は一切使用されておらず、ブータン館はまるで過ぎ去った時代の遺物のようだ。訪問者は静まり、落ち着き、思いをはせるのである。

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写真)ブータン・パヴィリオン内部の様子。毎日13,000人の観光客が訪れる。
 
 その様子はまさに、万博のテーマと重なる。訪問者はそのシンプルさ、そして幸福と平和のメッセージに心をとらわれるのである。
「ブータン・パヴィリオンは神聖で、とても不思議な体験をしました。」ブータン館を出た後、名古屋にある電話会社でプログラマーをするタケシ・トモミはこうコメントする。「今でもこのような国が存在するなんて信じられません。」
 また、ブータン・パヴィリオンを色彩と、活気にあふれている、と感じる人もいる。そして、ブータンのイメージは多くのお年寄りたちに、古き良き時代に対する郷愁を思い起こさせるようだ。ある若い日本人男性は精神が落ち着く、と言ってブータン・パヴィリオンをほぼ毎日訪れている。
 ブータン・パヴィリオンの訪問者は、毎日約13,000人に上る。訪問者はまず、色鮮やかな祈りの旗で飾られた伝統的な片持ち梁の橋に導かれてゆく。
 パヴィリオン内では、ブータン人の笑顔の写真が人々を迎える。そして、次に訪問者が目にするのは自然と調和するブータンの日常生活を紹介した絵画である。そして、その後は活気にあふれ、色彩豊かなブータン建築と手工芸が飾られたラプセ(窓枠)とナムゲルケサンであり、その中には仏像が鎮座している。6m×3mのトンドルも壁にかけられており、その下には国内で最高級の織物や工芸品が展示されている。
 ブータン内務文化省大臣Lyonpo Jigmi Y Thinleyは、ブータン・ナショナルデーの間、現地を訪れ、次のように述べた。パヴィリオンはブータンは、経済発展、精神的な豊かさ、文化の保全、そして自然保護のバランス、というブータンの開発哲学を伝えている、という。
 ブータン館長のダショー・ナド・リンチェンがクエンセルによせたコメントによれば、ブータンは、他国に比べて、予算面、そしてスペース面での制約にもかかわらず、非常に良い展示を行っているという。
「訪れる人の多さと、パヴィリオンに対する高い評価が励ましとなっています。」ダショー・ナド・リンチェンは言う。ブータン・パヴィリオンには約60万ドルが費やされ、この費用は日本の友人たちからの支援でまかなわれている、と彼は付け加えた。
 ブータン・パヴィリオンは一般公開に先立ち3月25日に実施された内覧会においてすでに、日本で非常に高い評判を得た。海外ではじめて仕事をするブータン人大工たちを撮影した日本のテレビ局もあった。撮影はパヴィリオン建設の様子だけではなく、職人たちが生活を送る愛知県の仏教寺院にまで及んだ。
「職人たちのバックグラウンド、その仕事の難しさ、技巧を凝らした手法は非常に多くの日本人の心と目を奪った。」国会議員の吉田貢氏はこう述べた。彼によると、日本においてブータンはその禁煙政策とGNHの開発哲学で知られているという。
 6月8日には、日本の徳仁皇太子がブータン・パヴィリオンを訪問された。

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写真)6月8日、ブータン・パヴィリオンを訪問した日本の皇太子を歓迎する
ダショー・ナド・リンチェン
 
 今年の9月25日までに世界中から1500万人が万博を訪れる見込である。
 
 
(報告者 Kencho Wangdi—愛知)
 
(原文は http://www.kuenselonline.com/article.php?sid=5603 )

June 09, 2005

ブータンの美と緑、危機に

「美しく、緑の王国、というブータンの評判がゴミと廃棄物により危うくなっている。」

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写真)6月5日、GomphuにあるPCALの従業員は新しい鉱山に苗木の植林作業を行った。同日は世界環境・デーにあたる。

 労働・住環境省のLyonpo Kinzang Dorji大臣は、は6月5日、ティンプで開催された世界環境デー記念式典で、国連、NGO,学生を前にして演説を行った。
 大臣は開発計画者、地方自治体、ブータン政府、学生を含む、すべての住民に対して、ティンプをごみ、廃棄物、不衛生さが蔓延する町ではなく、持続可能な開発の規範の町とすべく行動しなければならない、言う。
 さらに、大臣は以下のようにも述べた。
「都市はごみの巨大な排出源であり、天然資源の浪費者である。住宅不足、交通渋滞、空気汚染、そして生活習慣の乱れはティンプの大きな悩みとなってしまった。」
「ブータン2020」では数年のうちにブータン国民の50パーセント以上が都市部に住むことが予測されている。
「他国と違い、ブータンの都市部には平地と場所自体の少なさ、という大きな制約がある。」UNDP駐在所に住むMs.Renata Lok Dessallienは言う。彼女は、ブータンの都市環境改善には社会全体の協力が必要と主張する。
 国家環境委員会(National Environment Commission)代表のSonam Yangleyは、ブータンにとって、「地球のためのみどりの都市」計画は、現在緊急の対処が必要な課題に焦点をあてる、まさに時期を得たものだという。
 同日、イベントを記念して、紹介されたのがティンプの14の学校で始められたリサイクル計画である。これは生徒たちに家庭ごみのリサイクル促進をめざす計画である。
 午後には、2つの学校の代表と、市当局、そして市民が連携し清掃キャンペーンを行った
 
 
(報告 Kesang Dema)
 
(原文は http://www.kuenselonline.com/article.php?sid=5584)

June 07, 2005

日本、13億200万円の増資へ

日本政府は橋梁修復プロジェクトの第2段階に向け、対ブータン無償援助を13億200万円(約5660万ヌルタム)増加させる。

 この無償援助を正式化させるための手続きが、5月27日デリーの日本大使館で、榎泰邦(えのき・やすくに)日本大使とLyonpo Dago Tsheringブータン大使の間で交わされた。
 この無償援助はwakleytar, tangmachu、sunkoshの橋壁の修復にあてられる予定。3本の橋の詳細な設計は無償援助により派遣される日本の専門家が行う。すでに計画の第1段階では5本の古い橋の修復が完了している。
 さらに、両大使は別件で29,813アメリカドルの無償援助にも調印を行った。この援助では「草の根人間の安全保障計画」に基づいて、2台の中古消防車がブータン王国警察に輸送される。
 なお2台は日本消防士組合を通じて、埼玉県三郷市と杉戸町から寄贈された消防車である。

June 01, 2005

都市化への対応策

Changla(植え替え)の季節は乾燥し、暑い。それに加えて稲苗は不足する。しかし、バベサ(Babesa)の農民は今年ほど憂鬱になり、同時に郷愁を感じたことはなかった。というのも今年の農民達は田畑を永久に手放さなければならない可能性に見舞われているからだ。

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写真)農民達は忍び寄る都市化の足音に気がついている。
 

 今年始め、ティンプ市当局はバベサとタリマルフェイ(Thalimarphey)、2村にある決定を下した。それは今年の収穫期後に実施される「都市計画」に向けた測量を境とし、耕作地の放棄を促すものである。
 市当局は幾度にもわたり会合を重ね、開発計画後は土地の付加価値が増し、土を耕す面倒な仕事もなくなる、と農民達に説明してきた。しかし、農民達は永遠に取り戻すことができないであろう、生活様式に深い愛着を持っている。
 69歳の農民であるRichen Wangmoはもう一年、耕作が継続できるように祈りを続けている。彼は日曜日にバベサで最後の田植えを終えたばかりだ。「この土地は先祖代々私の家のものでした。もう、ここが耕せないと思うと、胸にぽっかりと大きな穴が開いたような気持ちです。」Richen Wangmoは続けて、次のように言った。「この変化が更なる大きな変化を引き起こすのではないかと心配しています。」
 この豊かな農地を犠牲にした都市化の計画は価値があるのか、という疑問も農民に根強く残る。
 また、都市計画に伴い住民移転が行われるのではないか、と感じる農民もいる。Chimiは2年前に稲作をやめ、バベサで分益小作人になった。彼女はこの先どうして行けばいいのか分からないという。「大地主にとってこの都市計画は非常に好都合なものでしょう。しかし、他の人々にとってみれば、生活を失う以外のなにものでもありません。」
 Chimmiと夫は野菜売りを頼みにしてきた。しかし、新道建設に伴い、水路が分断されてしまった。今ではChimmiの夫はタクシーの運転手となりChimmiと3人の子どもを支えている。
 また、農民たちは、都市計画決定から2年がすぎたが、その成果がほとんどないことも指摘する。「われわれ農民は開発のお粗末な進展具合によって、不当に苦しめられることになることを恐れている。」別の農民、Omによれば、「建物建設が許可されないため多くの農民が土地を売却した現金に頼っている」のである。
 バベサでは、農民達は、最後の田植えを余儀なくされる段階に入ったため、開発計画がこれ以上遅延しないことを望んでいるという。「われわれの土地が、他の資本に返還されるのならば有効に利用されるべきだ。実際に政府はわれわれが耕作を諦めればよりよい生活がやってくる、 と説明しているんだ。」
 政府や村出身の教育をうけた子供達は計画がその通り進展すれば、政府も農民たちも利益を得ると考えている。
「現在の労働力不足、農作業の大変さを考慮すれば、われわれの土地はこの有効な計画に使われたほうがよいのです。」最近大学を卒業したNamgay Tsheringは言う。「市街地にある耕作地は、都市化に対する解決策となるはずです。その一方で、農民が都市化のコストをこうむるべきではない、ことも確かです。」
 ある公務員のThinley Namgayは計画の遅延に対し、政府は農民に何らかの保証をすべきだと主張する。「ほとんどの農民は土地を唯一の財産としています。われわれがそれを奪ってしまってはいけないのです。」
 すでに耕作を放棄した農民も存在する。彼らは甘く苦い変化が村を覆っていくのを悲しみの目で見つめている。快適な都市環境は重要なものだろう。しかし、コミュニティそして自分の故郷への思いを失うことはまた別の話だ。
 
(報告 Ugyen Penjore)
 
(原文は http://www.kuenselonline.com/article.php?sid=5546)

GNH−重大な責任

「あなたは幸せですか?」「私は幸せです。」「なぜあなたは幸せですか?」「良く分からない。」

 5月30日、31日にかけて実施された国勢調査の際の出口調査によれば、どうやらわれわれは幸せなひとびとの国であるようだ。しかし、その幸せの原因を分析する時間も試みもなかったようだ。
 むしろこの調査から明らかなことは、われわれが独自である、ということであろう。 国勢調査で、幸福度を調査項目に持つ国が他にあるだろうか?
 もちろん、この質問自体、正当性に疑問が生じることは承知である。幸福、という非常に深く、多くの人は理解すらできない事柄に包括的な答えを出すことは非常に困難であろう。長い歴史を通じて考察されてきたにもかかわらず、人はついに幸福を定義するには至らなかったのである。
 しかし、GNHの生みの親であるブータンにとってこの問いはさほど重要ではない。発展と変化の指針であるGNHは非常に将来性のある概念とされ、多くの思想家、学者、開発関係者が注目してきた。
 GNHはブータンにとって非常に光る概念ではあるが、開発の専門化が言うような、「実際の運用に向けた実践的枠組みや方法」には応用されていないことはわれわれも十分に認識するところである。
 今日、GNH、そして何よりブータンは岐路にある。われわれはGNHにはあまり意味がなく、単にキャッチフレーズであることを証明してしまったのであろうか?GNHは概念として非常な可能性をひめており、現在のグローバル化の流れに沿った開発にとってかわるパラダイムだ、とも言われている。われわれはGNHをより、成熟させることができるだろうか?
 今、われわれに必要なことはGNHを正しい視点から分析することであろう。GNHとはブータンが幸福な社会を築いてきたことに対する証明ではなし、ブータンが国として国民の幸福を保証するものでもない。さらに言えば、GNHは幸福の概念ですらないのである。
 仏教の教えにあるように、幸福とは自分自身の中から生まれる感情である。自らの心を理解して、人は幸福になる。ゆえに、GNHとは政府の責任を意味するのである。政府は国民が幸せを追求し、見つけることの出来る正しい環境を整えなければならない。
 GNHは確かに、発展の目標に新たな一面を加えた。しかし、ブータンはGNHを幸福に対する処方箋のパッケージ、として扱っているのではない。実際にブータン自身が、まだGNHの初期の段階にあり、議論はもっと喚起される必要がある。
 よって、「あなたは幸福ですか?」という、国規模の調査はまったくの場違いな質問事項ともいえないだろう。国際社会はGNHの概念に興味を示し、理解を深めつつある。そして、GNHの多くの議論がブータン国外で発生している今、われわれは自分自身に問いかけなければならない。
 これも仏教の教えにあるように、責任とはどこにでもあるものではない。責任とは指針を取る、リーダーシップにこそあるのである。皮肉な観光客の期待とは裏腹に、タクシーの運転手はGNHとは何かを説明することは出来ないであろう。しかし、政府のリーダーたちは何が議論となっているのか説明できなければならない。
 国王陛下はGNHが未来への輝かしい道筋を示している、と述べられた。ゆえに、学者、開発計画者、官僚、政治家やその卵たちは、GNHからわれわれの発展と変化に必要な事項を明確に描かなければならない。
 すべての人が山の頂上に住みたがる、ということはよく知られている。しかし、実はすべての幸福や成長とは山を登っている途中に存在しているものなのだ。